「国語力」を「一生モノの武器」に変える。文章を咀嚼するその先に。
2026/03/12
こんにちは。前回の記事の続きです。
1.前回の記事のおさらい
まずは、前回の記事のポイントをおさらいしておきます。
①学習内容の「フロー」と「ストック」
②学習内容をストックする「自分の言葉」を持つ
③文章を「自分の言葉」で「咀嚼する」
要するに、文章を読むときに、ただ読み流し(フロー)させているだけでは、その内容は入ってきませんよ、自分の言葉で理解して記憶の中に取り置くことが大切ですよということを前回の記事ではお伝えいたしました。
(このように一つの文章をまとめる力が必要だということです。)
では、どうやってそれが可能になるのか。「自分の言葉」というけれども、語彙力があればそれで事足りるのか。いくつか考えてみましょう。
2.語彙力は絶対に必要
次の文をご覧ください。
2026年3月8日、WBCの日本とオーストラリアの試合に、天皇・皇后・内親王も球場に来て、試合を見た。
普通の文ですね。敬語は使われていませんが、とりあえずその試合についての情報として、皇室のお三方がお見えになりました、ということは分かります。では、この文はどうでしょうか。
2026年3月8日、WBCの日本とオーストラリアの試合は天覧試合となった。
これも同じ内容ですね。皇室のお三方が観戦された試合を「天覧試合」と一言でまとめたのです。
語彙とは何か。それには伝えたい情報を凝縮させる働きが備わっています。その語彙が十分に備わっていなければ、こんな話になってしまいます。
野球に必要な道具には、ボールをつかむための革でできた手袋と、ボールを打つための木でできた棒が必要だ。
もはや何を伝えているのか、読んでいる側の方が困ります。
「ボールをつかむための革でできた手袋」はグローブ、「ボールを打つための木でできた棒」はバットです。ですから、書き換えると、
野球に必要な道具には、グローブとバットが必要だ。
語彙があることで、情報を集約させることが可能になるのです。極端な話、校長先生の非常に長いお話も、語彙を備えていれば、簡潔にまとめることができるのです。
「ああ、校長先生は礼儀を大事にしなさいということを言っているのね。」
語彙を持つことで、自分の頭の中も整理整頓することができるようになるのです。
3.語彙を備えて置き換える
上で見たように、その状況、場面に応じて語彙を使っていかなければいけません。
語彙を使うとは、物事や状況を語彙で置き換えるということです。
例えば、こんなものも語彙で置き換えることができます。
よしおさんの漢字テストの点数
(1回目)35点 (2回目)40点 (3回目)65点
(4回目)75点 (5回目)95点
よしおさんは5回にわたる漢字テストで、最初は35点であったが、その後は順調に点数をのばし、最後には95点までのばした。
目の前の事実や知識を語彙を使って表現することができて、語彙を運用することができたということができるのです。その運用の過程で、目の前の事実や知識は、自分が設定したフィルターに通されています。そのフィルターというのはもちろん、そもそも備えてた知識であったり、あるいは経験、感情であったりするのです。つまり、語彙を運用するためには、自分ごととして受け入れるということが必要だということになります。
4.語彙と自分が咀嚼力を高める
結局、文章に対する咀嚼力を高めるためには、語彙とその語彙を運用させるための自分の知識、経験、感情が必要だということです。それは文章だけではありません。どの勉強についても、言葉を用いて行われている限りでは、語彙と自分に備わったものが必要になるのです。国語だけではありません。算数も社会も理科も体育も図工も音楽も家庭科も全てにおいて語彙と自分が必要になるのです。
・算数の問題文を読み解く
・歴史の背景を自分の経験と重ねる
・理科の現象を言葉で説明する
こういったことにも語彙と自分が必要になるのです。
そして、これらがすべて、実は「国語の力」なのです。
そうすると、咀嚼力を高めるために、①語彙の量を増やす、②自分自身をもっと磨くことが必要になります。②の自分自身というのは頭に知識を詰め込むだけではなく、日常の生活の中のさまざまな出来事や経験、またその出来事や経験で得られる感情やその感情の揺れなども必要です。
とかく「国語」というと①にばかり目が行きがちです。なぜならそれが一番指導しやすいからです。参考書やドリルを使えば何か手に入れられると感じるからでしょう。ただ一方で、その語彙も日常生活の中で得られるという側面もあります。上述の「天覧試合」という言葉は、児童・生徒が使うような参考書やドリルにいは到底出てきません。そういうのは、メディアで使われたり、野球好きの親子の会話の中で使われたりするでしょう。そういう中で出会った語彙の方が、参考書やドリルで詰め込まれた語彙よりも案外記憶に残ったりするものです。なぜなら、生きたコミュニケーションによって得られるものだから。そういうことを日常を大事にしようという姿勢こそが咀嚼力を高めるために最も大事なことなのです。
5.咀嚼力と学習内容のストック
日常生活を大事にする、自分自身の備わったものを大事にすることによって、目の前の学習についても、自分なりの解釈ができ、それが学習内容のストックとなるのです。1年をふり返ってみて、教科書をめくるのはもちろん大事です。ただし、その時に、単に眺めている、探しているというだけでは、またフローをくり返すだけになります。学習した内容を自分ごととしてとらえ、自分というフィルターを通して咀嚼することによって、本当の意味での学習内容のふり返りとストック化を達成させることができるのです。
これから春休みを迎え、「1年の復習を」という呼びかけも聞こえてきそうです。
しかし、その復習のあり方もちょっと考えてみて下さい。また問題集を解く、できる問題とできない問題を見つけ出すというだけで終わってしまえば、学習内容のストックを生み出す復習、ふり返りにはちょっと遠くなるかもしれません。
ぜひ、ご注意を。
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